2017.03.21

花・緑情報

ミツマタ







 「暑さ寒さも彼岸まで」とはいわれますが,春のお彼岸が過ぎた今日は,雨でまた寒い一日となりました。膨らみかけたサクラの芽も一旦立ち止まりそうです。それでもジンチョウゲが甘い香りを放ち始め,春の到来を告げています。(写真1)そしてその仲間であるミツマタも,ジンチョウゲに合わせたかのように咲き始めています。(写真2)

 和紙の原料として知られるミツマタは,ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で,中国南部からヒマラヤにかけての一帯を原産地としています。

 枝からぶら下がるようにつく独特な形の花芽(写真3)は柔らかな毛に包まれており,外側から順に筒状の花を咲かせていきます。(写真4)花の先は4つに裂けていて,花弁に見える部分はガク片で花弁はありません。ガク筒の中には4本のオシベがあり,さらにその内側に短いメシベがあります。(写真5)

 日本には古い時代に渡来したようで,万葉集にもサキクサ(三枝)の名前で詠まれています。和紙の原料としてその名前が出てくるのは戦国時代ぐらいになってからですが,これは同じ和紙の原料で,同じくジンチョウゲの仲間であるガンピとの区別が明確にされていなかったためといわれています。

 和紙の原料としてはミツマタ・ガンピそしてコウゾなどがありますが,ミツマタは特に日本銀行券の原料として利用されています。それはその樹皮の繊維が頑丈で,なおかつ柔軟であり独特の手触りを持つことで偽造防止にも効果があるためだということです。

 ミツマタの名前は三つずつに枝分かれする様子に由来するようで,(写真6)次々と三つに分かれながら枝を伸ばしていきます。漢字では「三椏」と書きますが,「椏」は木の股を意味します。

 ジンチョウゲほどの強い香りではありませんが,少し顔を近づけるとほのかに漂う甘いをお感じいただけるはずです。ジンチョウゲとはまた違った春の色と香りをお楽しみください。