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花・緑情報

サンシュユ

2017.03.18 更新







 今日から3連休という方も多いと思います。春の連休初日は穏やかな日和となりました。その中で春を告げる花のひとつ,サンシュユが開花し始めています。(写真1)

 サンシュユはミズキ科ミズキ属の落葉小高木で,中国や朝鮮半島を原産地としています。日本には江戸時代の享保年間(1720年頃)に種子が持ち込まれ,薬用植物として栽培されるようになりました。

 2月の終わり頃,その冬芽からわずかに黄色い花の一部をのぞかせていましたが,(写真2=2/25撮影)それから半月余りたってようやく開花の時を迎えました。

  葉が展開する前に咲かせる花は,一つの花序からたくさんの花を出し,特徴的な姿を見せています。(写真3)一つ一つの花は花弁が4枚で反り返っています。この花は4本のオシベと1本のメシベを持つ両性花です。(写真4)

 秋につける艶やかな実は(写真5=2016/9/26撮影)薬用として利用されます。渋みがあり生食には向きませんが,種子を取り除いて乾燥させたものがサンシュユの名前で日本薬局方に登録されています。止血や解熱,強精などの薬効があるということで,八味地黄丸などの漢方薬に処方されています。また晩秋から冬にかけては野鳥の恰好の餌になります。(写真6=メジロ 1/23撮影)

 サンシュユの名前は漢名「山茱萸」の日本語音読みで,茱萸はグミを表すという説があり,山茱萸は山のグミという意味になります。ただナワシログミなどのグミ類の近縁種ではなく,その実が混同されたのかもしれません。(茱萸はグミのような実をつける植物という解釈もあるようです)

 早い春を彩るサンシュユの花は香りの道や天津の森その他でご覧いただけます。春らしい色合いをお楽しみください。