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花・緑情報

冬のバードウオッチング10〜アオジ・クロジ〜

2017.02.13 更新








 さくら園の少し先,ナツツバキ林を望む園路で数羽の鳥たちが採餌していました。その中にシロハラやミヤマホオジロに混じって,緑がかった鳥が見られました。これはアオジです。(写真1)

 アオジはホオジロ科ホオジロ属に分類される渡り鳥で,ロシアや中国などにも分布しますが,六甲山系で見られる個体は北海道や本州中部以北で繁殖したものと思われます。

 体長は15〜16cmぐらいとスズメよりやや大きいぐらいです。食性は種子や昆虫類など雑食性で,今日園路で見られたように,ホオジロやミヤマホオジロなど他のホオジロ類と一緒に落ち葉の間を跳ねながら採食しています。(写真2)

 ただ他のホオジロ類と比べてあまり群れをつくらないこと,用心深い性質ですぐ草むらなどに身を潜めるなどの違いがあります。またホオジロなどが比較的開けた場所にいるのに対し,アオジは藪地などやや暗い場所を好みます。

 オスとメスにはあまり大きな違いはありませんが,オスの頭部が緑がかった暗灰色なのに対し,メスはやや薄い色です。またオスの眼先はやや黒味を帯びています。この部分で比べれば区別しやすいかもしれません。(写真3オス 4メス)

 アオジという名前を持っていますが,ご覧いただいているように青い鳥ではありません。これはかつて「あを」が寒色全般を指し,緑や灰色そして紫などかなり広い範囲で使われていたことによるようです。これはアオゲラ(写真5)も同様です。青い鳥は少し前にご紹介したルリビタキ(写真6)のように「ルリ(瑠璃)」で表されます。

 アオジの近縁種にクロジという種があります。(写真7)名前の通り黒味がかっており,本園ではあまり見かけない鳥です。この種は本州以北には留鳥として生息・繁殖しています。それらの中には冬季に南に移動する個体もあるようで,この近辺で見られるものはそうした個体かもしれません。

 アオジ・クロジのジは,古くにホオジロ類を「しとと」と呼んでいたことに由来するようです。そしてアオシトトが転訛してアオジになったといわれています。ただなぜホオジロ類がこう呼ばれていたのかは定かではありません。