トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

秋の実り5〜北アメリカ区にて〜

2016.10.23 更新







 長谷池の南側から青葉トンネルに向かう途中,園路の東側(向かって左)に広がる芝生の斜面地が北アメリカ区です。入口付近にはセイヨウシャクナゲとカルミアがあり,春には華やかな彩りで皆様をお迎えします。

 この北アメリカ区の奥に,今花が咲いたかのような色づきを見せている樹木があります。(写真1・2)

 これはタラノキの果柄で,よく見ると黒紫の実をつけています。(写真3)

 タラノキはウコギ科タラノキ属の落葉低木で,日本各地に自生します。日当たりのよい山野に生育し,林縁や伐採跡地などにいち早く出現する先駆植物の一つです。

 4月に萌え出るこの木の新芽は,春の山菜を代表する「タラノメ」として知られています。そして夏の終わり頃から初秋にかけて白い花を咲かせます。(写真4=8/23撮影)

 今つけている実は液果で,ホオジロやメジロそしてツグミなどの鳥たちにとって,晩秋から冬にかけての恰好の食べ物になります。

 タラノキは前述のように先駆植物ですので園内各所で見られ,さくら園などでも数本の同種が見られます。たださくら園にあるタラノキの果柄は,これほど美しい色にはなっていません。日当たりの関係かもしれません。

 北アメリカ区では他にもコバノガマズミのたわわに実る赤く輝く実がご覧いただけます。(写真5)コバノガマズミは香りの道でもご覧いただけますが,ここのものが一番見応えがあります。

 さらにこれらの木々に絡みついて生育するサルトリイバラの実も赤く熟しつつあります。(写真6)

 めっきり秋めいてきた仲秋のひと時。涼やかな風の中,秋の実りをお楽しみください。