トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

カゴノキの花

2016.09.25 更新






 展示館前広場からつつじ園に向かう道の脇に,ちょっと変わった木肌をした樹木があります。(写真1)この木はカゴノキ(鹿子の木)といい,まだらに剥げ落ちた木肌の模様を鹿の子の体の模様に見立てたのが名前の由来です。このカゴノキが今花を咲かせています。(写真2)

 カゴノキはクスノキ科カゴノキ属(ハマビワ属とされることもあります)の常緑高木で,大きいものは20m以上になります。朝鮮半島南部や台湾など暖かい地域に分布し,日本では関東以西の照葉樹林などで見られます。

 花は葉の脇に数個まとまってつきます。(写真3)目立たない淡黄色の花被片は,上部が6つに裂けています。9本あるオシベが目だっていますが,本種は雌雄異株であり,この木は雄株のためメシベはありません。(写真4)

 この材は堅く建築材として利用されますが,木肌の独特の風合いをいかして床柱として使われることもあります。

 それほど目立つ花ではありませんが,樹木の花が少ないこの時期に見られる貴重な花です。密やかな花盛りをお楽しみください。なおこの木のすぐ近く,滝池横のシラカシの根元にアキノギンリョウソウが顔を出しています。合わせてお楽しみください。(写真5)※つつじ園の道沿いに見られたアキノギンリョウソウは,花期が終わるとともに,イノシシに踏まれたようで,ほとんど残っていません。このアキノギンリョウソウは雨が降ったため出てきたと思われます。