トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

秋草の小径に咲く花その2〜ワレモコウ・メドハギ〜

2016.09.13 更新








 秋雨の季節になりました。そぼ降る雨に濡れる秋草が季節の移り変わりを感じさせます。今日はその中からワレモコウとメドハギをご紹介します。

 ワレモコウはバラ科ワレモコウ属の多年草で,日本では北海道から九州にかけて分布し,高原や野原などに自生します。(写真1)

 枝分かれした茎の先に楕円形をした暗赤色の花穂をつけます。そしてピンクの花を上から順に咲かせていきます。(写真2)咲いている部分の下はつぼみ,上は咲き終わった花です。季節の花として切り花としてもよく利用されていますが,その大半は咲き終わった花です。

 花は4枚のガクでできており花弁はありません。少し顔を出しているオシベは4本です。(写真3)

 切り花では葉がついていないことが多いようですが,葉は茎の下部に伸びています。この葉は奇数状複葉(先端に1枚の小葉があり,左右に葉が並んだもの)で,葉には鋸歯があります。(写真4)

 ワレモコウには「吾亦紅」「吾木香」「割木瓜」などいくつかの漢字が当てられていますが,その数だけ名前の由来があり,いずれが正しいのかは定かではありません。その一つを伝えるのが次の句です。

 「吾(われ)も亦(また)紅(くれない)なりとひそやかに」(高浜虚子)

 メドハギはマメ科ハギ属の多年草で,全国の日当たりのよい草地や道ばたに自生します。

 葉の脇からごく短い花序をだし,2〜4個がかたまって咲きます。(写真5)マメ科の典型的な蝶形花は,とても小さな花ですが白と青紫が美しい対比となっています。(写真6)

 葉は3枚の小葉からなる複葉で,茎を取り巻くようについています。(写真7)

 メドハギのメドはメドギ(筮)つまり占いに使う筮竹(ぜいちく)のことで,このメドハギの茎でつくられることに由来しています。(メドハギ以外の材料もあるようです)

 まだしばらくは秋雨が続くようですが,霧雨の中の秋草散策もなかなか情緒があります。小さいけれども季節を感じる花々をお楽しみください。