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花・緑情報

つる植物その2〜ガガイモ・ヤマノイモ〜

2016.08.15 更新









 今日はお盆の中日です。お墓参りに行かれる方も多いのではないでしょうか。帰省先におられる方やご旅行中の方は気をつけてお帰りください。

 さて,一昨日ブリスベーンの森の林縁で見られるつる植物をご紹介しましたが,今日はその続きで「イモ」の名前を持つものをご紹介します。

 多くのつる植物が花をつけている中で,特有の白い毛が生えたヒトデのような花が目につくのがガガイモです。(写真1)

 ガガイモはかつてガガイモ科とされていましたが,APG分類体系ではキョウチクトウ科に含められています。東アジアの温帯から暖帯にかけて広く分布し,日当たりのよい野原や農地などに自生します。

 葉腋から長い花序をだし,総花花序に赤紫の花をつけます。花冠は5つに深く裂け,裂片の先が反り返っています。オシベとメシベは合着して蕊(ずい)柱をつくっているため,柱頭だけが出ているように見えます。(写真2)

 葉は長い心形ですが,(写真3)これが亀の甲らに見えることから亀の方言「ゴガミ」が転訛して「ガガ」になったというのが名前の由来の一説です。なおイモは,その果実の形や色がイモに似ていることからきているようです。

 もう一つのイモはヤマノイモです。いうまでもなく自然薯(じねんじょ)が採れる植物です。

 ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で,北海道南西部から九州にかけての里山や河川沿いの土手などに自生します。(写真4)

 花は雌雄異株の異花で,ほとんど開かないため花のようには見えませんが,よくみるとわずかに開いているものも見られます。(写真5・6=雄花)雌花序は垂れ下がってつき花の根元には子房がついています。(写真7=雌花)

 この子房が成長すると翼が張り出し,半円を3つ組み合わせた形の特徴ある果実になります。またムカゴもつけ,ムカゴと種子の2つの方法で子孫を増やします。(写真8=2015/10/2撮影)通常ムカゴというとこのヤマノイモのムカゴを指しますが,栄養繁殖器官の一つで茎が肥大化したものです。塩茹でしたりお米と一緒に炊き込んだりして食べますが,ムカゴ飯は秋の季語になっています。

 ガガイモはブリスベーンの林縁以外では見かけませんが,ヤマノイモは園内のあらゆる所でご覧いただけます。雄花と雌花を探してみるのも一興かと思います。