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花・緑情報

クサギ

2016.08.14 更新







 今朝開園時刻の少し前,森林展示館前の滝池にカワセミが現れました。(写真1)留鳥ですので一年中いるはずですが,冬の長谷池でしか見られないことが多いので珍しいことです。滞在時間はわずかで,「キキーッ」という鋭い声とともにとびさりました。

 この美しい鳥同様,夏の太陽に輝く美しい花を咲かせているのがクサギです。(写真2)

 クサギはシソ科クサギ属の落葉小高木で,北海道から琉球列島まで幅広rく分布しています。

 枝先から集散花序を出し,澄んだ白い花をつけますが,葯(やく)の紫や花筒の赤などとのコントラストが美しい花です。(写真3)長くのびたオシベやメシベも印象的です。またユリに似た甘い香りも持っており,この匂いに誘われてクロアゲハなどの大型のチョウがよく訪れます。

 このつぼみはホオズキを小さくしたような袋に包まれており,(写真4=7月中旬)そこから花柄が飛び出すようにして花が咲きます。(写真5)

 花が終わったあとにつける実は輝くばかりの青い実で,赤いガク片との取り合わせも美しく,花と合わせて二度楽しめます。(写真6=2015/9/26撮影)

 クサギの名前は「臭木」つまり臭気があるということで,芳香のある花と対照的ですが,葉を触ったりちぎったりすると特異な臭いがすることに由来しています。漢名の臭梧桐も由来は同じです。ただこれも感じ方次第で,気にならないという人もいます。またこの臭いは茹でると無くなり,特に若葉は山菜として利用されています。

 クサギ以外にコクサギやハマクサギという名前の植物がありますが,これは臭気を持っているということで,クサギの仲間ではありません。

 クサギは樹木の遷移において最初に侵入する先駆植物の一つです。そのため道ばたでも見られ,本園でも園路沿いの各所でご覧いただけます。