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花・緑情報

つる植物〜ボタンヅル・センニンソウ〜

2016.08.13 更新









 太陽が輝き日照時間が長い夏は,光合成が盛んに行われる植物の「稼ぎ時」です。それだけに繁茂する草に悩まされる方も多いと思います。

 ブリスベーンの森の奥の林縁には,今,様々なつる性植物が生い茂っています。(写真1)この場所にはノブドウ,ヘクソカズラなどざっと見渡しただけでも8〜9種類のつる植物が見られ,春が花期のアケビを除いてほとんどが花期を迎えています。今日はその中からボタンヅルとセンニンソウをご紹介します。

 ボタンヅルはキンポウゲ科センニンソウ属の落葉つる性半低木で,本州から九州の山野に生育します。(写真2)

 花はたくさんあるオシベに隠れて見えにくいのですが,4枚の花弁状のガク片を持っています。(写真3)花弁はありません。

 ボタンヅルの名前はその三出複葉(3枚の小葉が1セットになったもの)で鋸歯(きょし)のある葉(写真4)がボタン(牡丹)の葉に似ていることに由来しています。

 ボタンヅルによく似た花を咲かせているのがセンニンソウです。(写真5)ボタンヅルと同属の近縁種で,4枚の花弁状のガク片を持っている点も共通しています。ただセンニンソウのガク片は大きく,オシベに隠れることがないためその白さが際立っています。(写真6)また全体的にもボタンヅルに比べてずっと大きく,一つ一つの花がよく目立ちます。(写真7)葉も違っており,鋸歯のあるボタンヅルに対して,センニンソウは鋸歯がありません。(写真8)

 センニンソウの名前は,その果実に長く伸びた毛があり,それを仙人の白いヒゲに見立てたものです。

 この二つはともに有毒植物であり,牛や馬が食べないため「馬食わず」と呼ばれることがあります。

 これらの植物はセンニンソウ属に分類されますが,同属は別名クレマチス属と呼ばれ,世界に300種,日本にも20種以上があり,花が美しいテッセンやカザグルマなどもこの仲間です。この仲間はクレマチスの総称で呼ばれることもあり,垣などの修景植物として利用されています。

 これらつる性植物の宝庫であるこの林縁は,足元にも多くの野草が見られます。ただ側溝などもありますので,十分ご注意いただきながら多くの野草をお楽しみください。