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花・緑情報

ナンキンハゼ

2016.07.23 更新







 少し前まではモクゲンジが黄色く染めていた天津の森で,今ナンキンハゼが花を咲かせています。(写真1)

 ナンキンハゼは中国を原産地とするトウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木で,紅葉が美しいことから公園樹や街路樹として利用されています。その紅葉は赤だけでなく,紫に黄色が混じったような特有の美しい色合いです。(写真2=2015/10/25撮影)本園でもイロハモミジの紅葉に先駆けて鮮やかに園内を彩ります。

 枝先に長い穂状の花序を出して明るい黄色の花を咲かせますが,これはたくさんの雄花の集まりで,それぞれ2本のオシベを持っています。(写真3)雌雄同株で雌花は花序の基部につきますが,ナンキンハゼは雄花先熟のもの,雌花先熟のものがあり,雌花先熟のものはオシベが閉じていて基部のメシベが開いています。(写真4)この種は雌雄同株ではありますが,雄花先熟か雌花先熟かは株によって分かれているようで,雄花をつけた木には今のところ雌花は見られません。(写真5)

 花が終わると実をつけますが,その果皮が割れて出てくる白い実はロウ質に包まれており,秋から冬にかけて鳥たちの恰好の食べ物になっており,ヤマガラやシジュウカラそしてヒヨドリなどがその実をついばんでいます。(写真6=シジュウカラ 2015/12/19撮影)そしてこれらの鳥たちが種を蒔くことで自生種もよく見られます。

 「ハゼ」と名前がついていますが,ウルシの仲間であるハゼノキとは近縁ではありません。前述のようにロウが採れることから,日本でロウを採取するハゼノキになぞらえてつけられたものです。ナンキン(南京)は中国原産であることを表しています。なお日本への渡来は江戸期といわれています。

 夏の太陽に輝くナンキンハゼの花は甘い香りも持っています。目と鼻でお楽しみください。