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花・緑情報

大暑の候は緑陰で

2016.07.22 更新









 今日22日は二十四節気の「大暑」です。快晴が続き,気温が上がり続ける頃とされており,実際梅雨明けとともに夏日が続いています。こんな日は涼やかな風が吹く緑陰散策をお楽しみください。今日は本園おすすめのクールスポットをご紹介します。

 森林展示館からあじさい坂を下ると,しゃくなげ園の手前で道が分岐しています。これを右に進むと,さくら園を過ぎた辺りから園路の左右が大きな木に覆われはじめます。(写真1)

 左手はシラカシやマテバシイなど,秋にはドングリをつける木々を中心とした照葉樹林(写真2)右手はメタセコイア(写真3)がそれぞれ木蔭をつくっています。化石で発見され絶滅種と考えられていたメタセコイアですが,中国の奥地で見つかった樹木がメタセコイアと同定されたのは1945年のことです。その種子がアメリカに送られ,そして育苗された苗木100本が日本にやってきたのがその数年後です。その内3本が本園にきて,本園のメタセコイアの基になっています。その3本は今でもメタセコイア林にあり,本園の歴史を見つめています。(写真4)

 メタセコイア林を過ぎると,今度はシナノキやオオモミジが木蔭を提供しています。オオモミジは熟しつつある翼果をつけており,秋には鮮やかな紅葉で目を楽しませてくれます。その先は様々な針葉樹が陽を遮ってくれています。右手のヒノキ林(写真5)左手のヒメコマツなどの奥からは野鳥の声が流れてきます。ヒノキの材は,その芳香や狂いがない緻密さから建材として最高品質とされ,日本各地で植林されています。日本以外には台湾に分布し,同地には樹齢2000年以上のものも生息しているとのことです。ヒノキの名前は,すぐに火がつくから火の木と呼ばれるようになった・・というのが定説ですが,これも諸説あるようです。

 ヒノキ林の先に1本のイロハモミジがあり,この樹下にはベンチが設置されています。(写真6)ここでお弁当を広げたり,小休止したりするのも心地よいものです。

 そこからほどなく本園一のクールスポット,青葉トンネルに到着します。このトンネルは昭和48年にできた長谷池方面と西門方面を結ぶもので,このトンネルができたおかげで車椅子でも周回できるようになりました。元々涼しい場所ですが,LED照明が見た目も涼しげに演出しています。(写真8)トンネル内にはベンチもあり,一服の涼をお楽しみいただけます。

 標高450m付近に位置し,平地より3℃は涼しい森林植物園ですが,さらに数多くの樹木が夏の太陽を和らげ,涼しい風を呼び込んでいます。体に優しい天然の冷房でこの暑い夏をお過ごしください。