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花・緑情報

水面に風渡る〜ミゾソバ〜

2015.10.02 更新






 10月神無月を迎え,長谷池を渡る風も一層涼やかになってきました。ハナノキが色付き始め,彩りの秋を先駆けています。(写真1)

 その長谷池の八つ橋付近,初夏にカキツバタが咲き乱れていた場所で,今はミゾソバが可愛い花を咲かせています。(写真2)

 ミゾソバはタデ科の一年生草本で,全国の小川や沼沢地,水田の用水路などに自生します。

 茎先につぼみをつけますが,それが集まって球状になりコンペイトウのような可愛らしい形になります。これからコンペイトウグサと呼ばれることもあります。(写真3)

 花は花弁の先端が淡い赤紫,中が白い二色に染め分けられている5弁花です。(写真4)花弁と書きましたが,実際には花弁ではなくガクと花弁の区別がつかない花被片と呼ばれるもので,タデ科植物によく見られるものです。

 ミゾソバは漢字では「溝蕎麦」つまり溝などの湿地に生えるソバという意味で,葉がソバに似ていることに由来するといわれています。これには実がソバに似ているため・・という説もあります。別名のウシノヒタイ(牛の額)も葉の形を牛の顔に見立てたものです。(写真5)

 同じタデ科植物であるソバほど一般的には食べられていませんが,飢餓の折には救荒植物として食べられていたようです。

 群生するミゾソバは本園の秋景色の一つです。水面を渡る秋風を感じながらご鑑賞ください。