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花・緑情報

早春のバードウオッチング15〜キツツキの仲間〜

2017.03.05 更新









 今日は二十四節気の啓蟄です。啓蟄は「冬籠りの虫たちが這いだしてくるころ」とされていてます。けれども三寒四温のこの時期,さすがに虫が出てくるところまではいかないようです。それでもここ数日「ピョーピョー」という口笛のような声を聞くことが多くなってきました。これはアオゲラが繁殖期に発する鳴き声です。(写真1=2016/4/23メタセコイアの樹上でさえずるアオゲラ)春はまず鳥たちから動き始めたようです。今日はこのアオゲラともう一種園内で見られるキツツキのアカゲラをご紹介します。

 アオゲラはキツツキ科アオゲラ属に分類され,主に本州に分布する日本固有種の鳥です。

 ヒヨドリよりもやや大きく,翼や尾羽の黄緑色が鮮やかです。アオゲラと名前に青がついていますが,体色に青色はありません。(写真2・3)それは「アオ」が古い時代には緑や灰色などを含めた広い意味に使われた名残りのようです。これはアオジやアオサギも同じです。青い鳥にはオオルリ・ルリビタキのようにルリ(瑠璃)が使われています。

 雌雄の区別は,頭部の赤い毛が後頭部まで広がっているのがオス,頭頂部だけ赤いものがメスということで見分けられるようです。(写真4=オスと思われる個体)

 アカゲラは同科アカゲラ属に分類されています。ユーラシア大陸の多くの地域に分布し,アオゲラよりも広い範囲で見られます。日本では本州と四国に亜種アカゲラが,北海道に亜種エゾアカゲラが分布しています。

 アオゲラより少し小さく,体色は黒・白そして赤の3色で構成されています。アカゲラのアカは腹部と頭部の赤色からきています。(写真5・6)ただ頭部の赤はメスにはなく,雌雄の区別ができます。

 これらキツツキ類は木を突いて虫を追い出し,それを捕食するというイメージから昆虫食のように思えます。しかし他の多くの鳥同様,秋から冬にかけては木の実を食べる姿が見られる(写真7)雑食性です。なお木をつつく行為の意味は,餌探しもあるようですが,ほかにも巣作りや求愛行動などがあります。

 小さいキツツキであるコゲラ(写真8)も含めて,キツツキの仲間には「〜ケラ」という名前がついています。これは古名の「ケラツツキ」がキツツキに変化するとともに,それぞれの名前にケラが残ったようです。ケラは虫又は「木ら」つまり木を意味するなどの説があります。

 アオゲラ・アカゲラはそれほど数が多くはないため,必ずご覧いただけるとは限りません。たださえずりの声や木をつつく音ドラミングを手掛かりに探すと見つかる確率も高くなるはずです。