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花・緑情報

ネコヤナギ

2017.02.25 更新






 ここしばらくの週末は雨模様の日が多かったのですが,久しぶりに気持ちよく晴れ上がり,きれいな青空が広がっています。ただ空気は冷たく,「春は名のみの 風の寒さや・・」という早春賦の歌詞が思い起こされます。それでも春の胎動は始まっており,長谷池のほとりでネコヤナギの花が顔を見せ始めています。(写真1)

 ネコヤナギはヤナギ科ヤナギ属の落葉低木で,北海道から九州にかけての水辺,特に川のほとりで株元が水につかるような場所に生育します。本園東門を出た辺りの生田川源流沿いにも何本かのネコヤナギがありましたが,(写真2=2014/3/4撮影)2014年8月の台風に伴う増水で流出してしまいました。

 ネコヤナギのイメージは,早春に見られる銀白色の綿毛をまとったもので,(写真3)切り花としても販売されています。ただこれは花というよりも花穂つまり穂状の花序で,花が咲くのはこれから半月からひと月ほど後になります。(写真4=2016/3/14撮影)もっとも咲いたといっても花弁もガク片もない花らしくない花です。

 この冬芽は一枚のカバーのようになっており,このカバーがすっぽりと外れるようにして花穂が姿を現します。(写真5)

 ネコヤナギの名前は花穂がネコの尻尾に似ていることに由来しますが,見た目だけでなく手触りもネコの毛そのものです。

 このネコヤナギが開花し始める頃には本格的な春が到来するはずです。それまでのしばしの間,柔らかなネコの尻尾で春の鼓動をお楽しみください。