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花・緑情報

マンサクとその仲間

2017.02.23 更新







 今日も暖かい雨の朝となりました。けれどもこの後はまた寒気が入るようで,目まぐるしく気候が移り変わります。これも春への足音かもしれません。その足音に導かれたのか,日本の山野に早い春を告げるマンサクの花が咲いています。(写真1)

 マンサクはマンサク科マンサク属の落葉小高木で日本固有種です。北海道南部から九州の山野に分布し,一番早く花を咲かせて春の訪れを知らせます。マンサクの名前も「まず咲く」が訛ったものともいわれています。(花がたくさんつくため「豊年満作」からという説もあります)

 花は4弁の細長い線形で,丸い花芽からリボンが解けるように花弁がでてきます。(写真2)暗赤紫色のガク片もよく目だっています。

 先にご紹介した中国原産のシナマンサク(写真3)と比べると,花の咲き方や形はよく似ていますが,マンサクの方がやや黄色が薄く,花もやや小さいという違いがあります。

 マンサクの亜種に関東から岩手県の太平洋側に分布するオオバマンサクがありますが,これもマンサクとほぼ同時期に花を咲かせ始めました。(写真4・5)マンサクよりも葉が大きいとされていますが,変異が大きく明瞭には区別しにくいようです。花もマンサクよりやや大きいとされていますが,これも見た目で判断するのは困難です。また同じく亜種にマルバマンサクがありますが,こちらは本園ではやや遅れて開花し,今はつぼみから黄色い花弁をのぞかせています。(写真6)マルバマンサクは日本海側の多雪地帯に生育し,材が粘り強いことと名前(丸葉)が示すように,葉の先が丸みを帯びることが特徴です。

 春の鼓動が感じられる花マンサクは,アジア区の手前,山田道分岐の向かい側斜面あたりでご覧いただけます。またオオバマンサクはあじさい坂とさくら園で,マルバマンサクはさくら園でご覧いただけます。黄色い花で春の先取りをお楽しみください。