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花・緑情報

冬のバードウオッチング11〜ジョウビタキ〜

2017.02.19 更新







 暖かい日が続いたと思えば一転寒い日となっています。まさに三寒四温ですが,こうやって春が近づいてくるのでしょう。

 今日は冬鳥の中では市街地でも見られる鳥で,尾羽を上下させる動きが可愛いジョウビタキをご紹介します。(写真1)

 ジョウビタキはツグミ科(分類法によってはヒタキ科ツグミ亜科)に分類されるスズメぐらいの大きさの鳥です。中国東北部やシベリアなどで繁殖し,日本には越冬のために飛来します。隣国の韓国では留鳥で,日本でも北海道や中部の高地で繁殖が確認されています。

 雌雄異色で,オスは翼が黒,腹部が赤橙色で大きな白斑が目につきます。そして頭部は灰白色です。(写真2・3)メスは全体的に薄い褐色でルリビタキのメスに似ていますが,オス同様に白い斑紋があり,これで区別できます。(写真4)

 食性は雑食で昆虫類やクモ類も食べるようですが,本園で見られる冬場はもっぱら木の実類を食べています。(写真5=ヌルデの実を捕食する様子)

 繁殖期のさえずりは本園では聞くことはできませんが,地鳴きのヒッヒッとかカッカッという声はよく耳にします。この声がヒタキ(火焚き)の名前の由来で,火を起こす時に使った火打石を打ち合わせる音になぞらえたものです。ジョウビタキのジョウは「尉」つまり能楽の翁のことで,オスの頭部の灰白色を老人の白髪に見立てたものです。(写真6)

 六甲山系はもちろん,街の公園などでも見かけることがあり,また人間に対する警戒心も比較的薄いため観察しやすい鳥です。時には人前に降りたつこともありますので,ゆっくりとそして様々な姿をご観察ください。園内各所で出会える鳥ですが,天津の森や薬樹園など実をつける木があり,開けた場所が見つけやすいと思われます。