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花・緑情報

木々の冬芽・葉痕7〜三大美芽〜

2017.02.12 更新







 冬芽には三大美芽といわれるものがあります。なぜこれらがそうなのかというはっきりした根拠は見当たりませんが,今日は巷間でいわれる三大美芽,ザイフリボク・ネジキ・コクサギの冬芽をご紹介します。

 ザイフリボクの冬芽は赤い芽が少し割れて白い綿毛が出ています。この赤白のコントラストが美しい冬芽です。(写真1)

 バラ科ザイフリボク科の落葉小高木で,岩手県以西の本州・四国・九州に分布します。この冬芽からは4月頃,葉と花が同時に展開します。(写真2=2016/4/17撮影)その花弁は長く,采配のように見えることから采振り木〜ザイフリボクと名付けられています。

 ネジキはツツジ科ネジキ属の落葉小高木で,捻じれたような幹を持ち,(写真3)名前もそれに由来しています。

 この冬芽は赤い枝先に赤い芽がつき,これが美しいために生け花などにも利用されています。(写真4)この芽は芽鱗が二つ合わさった形になっています。葉が展開した後につける花は,白いつぼ型で,近縁種であるアセビによく似ています。(写真5=2016/6/16撮影)

 最後の一つコクサギの冬芽は,チェック柄の服をまとったようなおしゃれな姿です。(写真6)この芽は複数の芽鱗が組み合わさっていますが,緑から濃紅紫色の芽鱗が,灰白色に縁取られているためこのような美しい模様になっています。

 コクサギ(小臭木)はミカン科コクサギ属の落葉低木で,山野の林下や沢沿いに自生します。クサギ(臭木)の近縁種のような名前ですが,この名前は「葉や枝に特有の臭気を持つ低木」という意味で,シソ科植物であるクサギとの類縁関係はありません。

 ザイフリボクは北アメリカ区,コクサギは長谷池への園路沿いそしてネジキは園内各所でご覧いただけます。これらの冬芽が三大美芽にふさわしいかどうかは,ぜひ実物をご覧いただいてご判断ください。