トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

節分の日〜ヒイラギとその仲間〜

2017.02.03 更新









 今日2月3日は節分です。各地で豆まきや追儺式などの節分行事が行われています。本園で見られる節分の名を冠した植物,セツブンソウも一輪だけですが開きかけています。(写真1)

 節分は季節の分かれ目,つまり立春・立夏・立秋・立冬の前日で年4回ありますが,普通節分といわれるのは立春の前日です。それだけ春を待つ気持ちが強いのかもしれません。

 そして春を待つにあたって,邪気を祓い新しい幸多き春を迎えるために様々な行事が行われます。豆まきがその代表的なものですが,イワシの頭にヒイラギを刺して玄関に飾るという風習も,古くからそして広く行われています。これはイワシの臭いとヒイラギのトゲで鬼つまり邪気が入るのを防ぐという意味があるようです。そこで今日はそれにちなんでヒイラギとその仲間をご紹介します。

 ヒイラギはモクセイ科モクセイ属の常緑小高木で,生け垣や庭木として広く利用されています。晩秋から初冬にかけて咲く白い花はそれほど目立ちませんが,(写真2=2016/11/24撮影)節分の縁起となるトゲのある葉が印象的です。(写真3)生け垣などへの利用は,魔除けのほか防犯という実質的な目的もあるようです。

 名前の由来もこのトゲによるもので,触ると痛いということから,古語で「ずきずき痛む」という意味の「ひいらぐ」が転訛したというのが定説です。

 ヒイラギ同様に生け垣や庭木として利用されるものにヒイラギモクセイがあります。ヒイラギの近縁種で中国大陸を原産地としています。

 ヒイラギとギンモクセイの交雑種と考えられていて,ヒイラギよりも大きな葉にトゲをつけています。(写真4)9月の終わり頃,枝一杯に花をつけますが,この花は甘い香りを漂わせます。(写真5=2016/9/26撮影)

 そして冬も終わりのこの時期に鮮やかな赤い実をつけているのがシナヒイラギです。この実はクリスマス飾りにも利用されています。(写真6)この種はモチノキ科植物でヒイラギとは近縁種ではありません。そのため「仲間」とはいえませんが,ヒイラギの名前つながりでご紹介します。

  5月の始めごろに花をつけますが,雌雄異株のこの種は雄花がたくさんつき芳香を放ちます。 (写真7=2016/5/6撮影)葉には鋭いトゲがあり,そのために「ヒイラギ」の名が与えられています。この葉には主に5か所のトゲを持ち,ムササビが飛んでいる姿が連想されます。(写真8)

 暦の上では明日からはもう春です。皆様方が幸多き春を迎えられることを祈念しております。