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花・緑情報

木々の冬芽・葉痕4〜オニグルミ〜

2017.01.31 更新







 比較的暖かだった昨日から6℃ほど下がり,真冬の寒さが戻ってきました。こうやって行きつ戻りつしながら春に近づくのでしょう。今日1月晦日は春を待つ木々の冬芽の中からオニグルミをご紹介します。

 オニグルミはクルミ科クルミ属の落葉高木で日本と樺太に分布します。日本では北海道から九州まで幅広く見られ,山間の川筋などに自生します。

 この冬芽は枝先の芽(頂芽)と側芽そして雄花序を出す花芽で構成されています。(写真1)頂芽は裸芽ですが,細かい毛が生えていて芽を寒さから守っています。(写真2)ただ乾燥には弱く,それが主に川沿いなど水辺で見られる理由の一つのようです。この芽は4月の後半に芽吹き,命の営みをはじめます。(写真3=2016/4/21撮影)芽吹いたばかりの葉の下についている緑のものは雄花序です。なお本種は雌雄同株の異花で,雌花は雄花が終わってからでてきます。

 冬芽もユニークな形ですが,大きな複葉の葉が落ちた痕の葉痕(ようこん)も変わった形です。(写真4)「ヒツジの顔」に例えられることが多いのですが,見ようによってはサル顔のものもあります。ちなみに目・鼻のように見える部分は維管束(いかんそく)痕で,葉と幹の間で水分や養分のやりとりをするための管の痕跡です。

 オニグルミはクルミの名前が示すようにその実は食用になります。(ノグルミのようにクルミの仲間でも食べられないものもあります)(写真5=2016/6/21撮影)食べる部分は種の中身つまり仁で,日本では縄文時代からこれを食べていたようです。ただこの殻は非常に堅く割りにくいため,一般的に市販されているクルミは,殻が割りやすいシナノグルミのものが多いようです。そしてこの堅くごつごつした種子(写真6)がオニ(鬼)の名前の由来になっています。

 オニグルミはコナラ広場から長谷池に向かう園路沿いでご覧いただけます。ユニークな冬芽と葉痕をお楽しみください。