トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

冬のバードウオッチング6〜マヒワ〜

2017.01.28 更新







 寒の内とは思えないような暖かな週末となりました。バードウオッチングの方も多くこられ,樹上に双眼鏡やカメラを向けていらっしゃいました。今日はそうした鑑賞の対象である冬鳥の一つ,マヒワをご紹介します。

 マヒワはアトリ科ヒワ亜科の渡り鳥で,北ヨーロッパやアジア・シベリアの東部などに分布し,日本には越冬のために飛来してきます。一部は北海道や本州北部でも繁殖するようです。

 食性は植物食が中心で,植物の種子や芽,木の実や葉などを主に食べますが,繁殖地では昆虫も食べるそうです。本園では年によって違いはありますが,たいていはカラマツやオオバヤシャブシ,ノグルミなどの球果に集まっています。(写真1)これらの実を小さなクチバシで巧みにこじ開けて中の種子を食べます。今年はモミジバフウやメタセコイアの実をついばむ姿も見られました。(写真2=モミジバフウ)

 体長は12〜13cmとスズメよりも一回り小さく,体色は雌雄別色です。オスは鮮やかな黄色と頭頂部の黒が目立ちます。(写真3)メスは全体的に黄色が薄く,背中のまだら模様が明瞭です。(写真4)特に体の下部(胸から腹の部分)の色を比べると,濃い黄色のオス(写真5)に対して,メスは白い(写真6)ので容易に見分けることができます。日本の伝統色である鶸(ひわ)色はオスのこの濃い黄色に由来しているということです。

 マヒワは漢字では「真鶸」と書きますが,これは昔愛玩用として飼育されていた時(今は捕獲・飼育は法令で禁止されています)すぐ死ぬことが多かったため,弱い鳥として「鶸」の字をあてたようです。魚偏に弱いとかいて鰯(いわし)と読むのと同じようなことです。読みのヒワは「小さい」とか「弱々しい」という意味の「ひは」に由来しています。

 マヒワは樹上高い場所で実をついばんでいることが多いため,観察には双眼鏡などをご用意ください。(本園でも事務所窓口で貸し出しをしています)