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花・緑情報

冬のバードウオッチング4〜ベニマシコ〜

2017.01.23 更新








 寒波到来の予報通り寒い朝を迎えました。最低気温が−1℃前後だった昨日のシモバシラは申し訳程度でしたが,今朝は立派な氷の結晶が見られました。こんな寒い朝でも野鳥は元気に飛び回り餌をついばんでいます。今日はその中から冬の赤い鳥ベニマシコをご紹介します。(写真1)

 ベニマシコはアトリ科ベニマシコ属の渡り鳥で,ユーラシア大陸北部に生息しますが,日本では北海道や青森の下北半島で繁殖し,六甲山系には冬鳥として飛来します。

 全体の大きさはスズメぐらいですが,尾羽が長い分,体長自体はスズメよりも小さな鳥です。(写真2)

 「赤い鳥」とご紹介しましたが,胸や背中に赤い色を持つのはオスで,メスはその部分が薄茶色でやや地味な印象を受けます。(写真3)翼と尾羽は雌雄ともに黒で,白い翼帯が目だっています。(写真4)

 食性は昆虫中心の食性のようですが,越冬地では主に植物の実を食べます。一般的にはイネ科やタデ科の草の実を食べるとされていますが,本園ではハギの実を食べることが多いようで萩の小径やそこからほど近い多目的広場外周路でよく観察されます。セイタカアワダチソウの実を食べる姿も見られました。(写真5)

 「マシコ」は猿子と書き,赤い顔をおサルさんに例えたものです。特にオスを正面から見るとサル顔に見えます。(写真6)この「マシコ」とつく鳥には,日本で見られるものにこのベニマシコ以外にハギマシコ・ギンザンマシコ・オオマシコなどがあります。いずれも北海道や北日本を中心に見られる鳥で,この中で本園にはオオマシコが数年に一度飛来するだけです。(写真7=2015/2/10撮影・赤が薄く若いオスのようです)残念ながら今年は今の所確認していません。

 この「マシコ」という名前は,アトリ科に属する数属の総称で,赤い鳥を示す名前です。そのためマシコがついても近縁種とは限りません。

 ベニマシコは茂みなどに潜んでいることが多く,目にする頻度は低いかもしれません。それでも時折ハギの茂みなどからひょいと顔を現すことがあります。偶然の出会いをお楽しみください。