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花・緑情報

木々の冬芽・葉痕1〜モクレンの仲間〜

2017.01.08 更新









 1月8日日曜日は3連休の中日という方も多いでしょうが,雨の一日となりました。そんな冬の冷たい雨の中,木々はやがて来る春に備えて冬芽をつけています。今日はこんな空模様に似合う暖かそうな毛に包まれた冬芽をご紹介します。

 そのような冬芽を持つ樹木の中で,よく庭木や公園樹として利用されるポピュラーなものがハクモクレンです。中国の南西部四川省・雲南省を原産地とするモクレン科モクレン属の落葉高木で,中国では「白玉蘭」という美しい別名で呼ばれ,上海市の市花とされています。

 その冬芽は長い銀色の毛に覆われて静かに春の訪れを待っていますが,(写真1)これは花芽で葉芽は花芽より小さく,それほど特徴的なものではありません。(写真1)また枝先につく花芽に寄り添うようにしてついています。(写真3)

 花芽が開くのは大体3月の下旬で,木を覆い尽くすように咲く白い花が早い春の訪れを告げます。(写真4=2016/4/4撮影)

 モクレンというとこの白い花を思い浮かべる方が多いと思いますが,いわゆるモクレンは紫の花を咲かせるシ(紫)モクレンのことを指し,このハクモクレンはその近縁種です。

 モクレンの名前は中国名の「木蓮」を日本語音読みしたものです。この種はハスの仲間ではありませんが,その大きな花がハスの花を連想させるからだと思われます。

 おなじ仲間のコブシもハクモクレンによく似て,毛に覆われた冬芽をつけています。(写真5)ハクモクレンのものとは毛の色や向きがやや違っていますが,冬芽だけを見て区別することは難しいようい思われます。そこで花芽のつき方を見てみると,ハクモクレンの場合は全体的に上向きについているのに対し,(写真6)コブシは様々な向きに向いている(写真7)という点で見分けることができます。

 花もよく似ていますが,つぼまった形のハクモクレンに対し,コブシは花弁が開いていて,(写真8=2016/3/22撮影)上記のようにあちらこちらに向いて咲くという特徴があります。

 なおコブシの名前は人間の拳(こぶし)からきているようですが,その由来はつぼみの形からとする説とゴツゴツとした実の形からとする説があります。

 本園で見られるものとしては,ほかにも同科のサラサレンゲが似たような冬芽をつけています。おなじモクレン科でもホオノキなどはまた違った冬芽をつけていますが,これは改めて紹介させていただきます。