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花・緑情報

ユズリハ

2017.01.06 更新






 1月も6日になると正月休みも終わり,ほぼ平常通りの生活に戻られていることと思います。けれども少なくとも7日までは「松の内」で,正月飾りはそのままというご家庭が多いようです。(地域によって差があります)そこで今日は,その正月飾りにも使われる縁起植物のユズリハをご紹介します。(写真1)

 「こどもたちよ。これはゆずりはの木です。・・こどもたちよ。おまえたちは何を欲しがらないでもすべてがおまえたちに譲られるのです。・・」(河合酔茗 ゆずりは) これは小学校国語教科書にも載録されていた「ゆずりは」という詩の一部です。ユズリハは「譲り葉」,つまり古い葉が新しい葉に代を譲るように葉を落とすことに由来する名前ですが,この詩はそれを大人が子どもたちに未来を渡していくことになぞらえたものです。

 ユズリハはユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で,福島県以西の本州から沖縄にかけて分布します。互生した葉が枝先に集まっていますが,葉柄が赤みを帯びているのが特徴です。(写真2)またこの時期,熟した実がたくさんついています。(写真3)5〜6月にかけて前年枝の葉腋からたくさんの花を出しますが,この種は雌雄異株でありこれは雄花です。(写真4=5/25撮影)

 ユズリハには北海道など寒冷地に分布するエゾユズリハ(写真5),関西以西などの暖地に分布するヒメユズリハなどの変種がありますが,上記の写真は樹高が低いヒメユズリハのものです。

 代を譲る木として子孫繁栄の象徴とされるユズリハとその仲間。この木にあやかって今年も皆様方がよい一年を過ごされることを祈念しております。