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花・緑情報

年の終わりに〜縁起植物〜

2016.12.27 更新









 師走も押し迫ってまいりました。本園も明日から1月4日まで年末・年始の休園日となります。そのため当ページの更新もしばしお休みさせていただきます。この一年当ページをご覧いただきましたことを心より感謝いたします。

 今日は来る年が皆様方にとってよき年になることを祈念し,縁起のよい植物をご紹介いたします。

 初めにご紹介するのははエンジュです。エンジュの中でも変種のシダレエンジュが特に縁起がよい木とされています。

 シダレエンジュは中国を原産地とするマメ科エンジュ属の落葉高木です。この木は名前の通り枝垂れていますが,単に枝が下がっているだけでなく,幹や枝が曲がりくねっているのが特徴です。(写真1)夏の真っ盛り,枝先に円錐花序をだし小さな花をたくさんつけます。(写真2=8/5撮影)この花はマメ科植物の典型である可愛らしい蝶形花です。(写真3)

  中国では高い官位につくとこの木を植える習慣があり出世の木とされていました。またエンジュが延寿つまり寿命が延びることに通じることも縁起樹とされるゆえんです。さらにマメ科植物のマメは「まめに働く」に通じ,おせち料理にも欠かせないものです。

 次は庭木などによく用いられるアオキです。ガリア科(またはアオキ科)アオキ属の常緑低木で,日本原産の植物です。

 花は4月初め頃つける紫と緑の小さな花で,(写真4=4/10撮影 雌花)それほど目立つものではありません。この樹木を特徴づけているのは,冬でも鮮やかな赤い実と艶やかな葉です。(写真5・6)

 アオキは暑さ寒さに耐え,一年中青々とした葉をつけているため強い生命力の象徴とされています。またよく目立つ赤い実も実りの象徴です。

 しめはイチイです。(写真7)この名前は律令制度のおける位階の最上位である一位からきたとする説もあり,優勝や勝利を意味する第一位につながるめでたい名前です。

 イチイはイチイ科イチイ属の常緑針葉樹で,沖縄を除くほぼ日本全土に分布しています。特徴的なのはその実で,球形の種子が赤い多汁質の仮種皮の内側に収まっていて外から見えています。(写真8=10/19撮影)材は緻密で美しく,かつて位階の高位者が持つ笏(しゃく)をこの木でつくっていたことが名前の由来といわれています。

 では来る平成29年が皆様方にとってよき年になることを願いつつ本年の当ページをお開きとさせていただきます。