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花・緑情報

酉年にちなんで〜鳥の名前がつく木2〜

2016.12.26 更新









 昨日に続いて鳥の名前がつく樹木をご紹介します。まずはカラスザンショウです。

 ミカン科サンショウ属(イヌザンショウ属とされる場合もあります)の落葉高木で,暖地性の沿岸地や山地に自生し,日本では本州から沖縄まで広い範囲に分布しています。

 伐採跡地などにまず生育する先駆植物の一つで,林冠を占める高木になります。神戸電鉄沿線の山間部でもその姿が見られます。

 真夏の7月半ばから8月,平たい傘状の花序にたくさんの白っぽい花をつけます。(写真1=8/3撮影)そして秋には赤い実をつけますが,(写真2=10/28撮影)「サンショウ(山椒)」の名前がついているのにも関わらず,この実が食べられるという話は聞きません。そのため「実は山椒に似ているけれども役に立たない」という意味で「カラスザンショウ」の名前がついたという説もあります。この実は人はともかく鳥は好むようで,カラスが好むからこの名前がついたという説もあります。ただ実際にはシジュウカラやメジロなど小さい鳥が好んで食べているようです。(写真3=シジュウカラ)カラスザンショウの特徴の一つに,幹や枝にトゲが多いことが挙げられます。(写真4)材としての利用がなく,このトゲが山仕事の邪魔になるとして,里山では除伐されることが多いようです。

 次のご紹介はタカノツメです。ウコギ科タカノツメ属の落葉高木で,北海道南部から九州にかけての山地に見られる日本特産種です。この樹木の特徴は美しい黄葉で,(写真5=11/17撮影)カエデの仲間の紅葉とともに山野を彩る樹木の一つです。そして落葉期には三出複葉の葉がくるくる舞い落ちる風情ある姿が見られます。この名前(鷹の爪)はその冬芽の形に由来しています。(写真6)曲がりながら長く伸びて,先が尖った形は鷹の鋭い爪を思わせます。

 最後の一つはハトノキです。この名前にお聞き覚えのない方は,一般的な和名であるハンカチノキといえばお分かりいただけるかと思います。その名前の通り,花期にはハンカチをぶら下げたように白い「花」をつけます。(写真7=4/30撮影)もっとも白い部分は本当の花ではなく花を守るための苞葉で,花は苞葉に包まれるようについている丸い形のものです。(写真8)ハトノキの名前はこのハンカチのように見える苞葉を鳩の姿に例えたもので,英語名もDove(鳩)treeです。

 昨日・今日でいくつか鳥のつく樹木をご紹介しましたが,草本植物も含めれば数えきれないぐらいのものがあります。例えば「スズメ」がつくものだけでスズメノテッポウ,スズメノヤリ他10以上あります。酉年の来年,こうした植物を探してみるのも楽しいのではないかと思います。