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花・緑情報

冬至

2016.12.20 更新









 明日12月21日は冬至です。二十四節気の・・という注釈も無用かと思いますが,一年で一番日が短い日です。ちなみに神戸では日の出が7時3分,日の入りが16時52分で日照時間は9時間49分。夏至のころの約14時間30分と比べると5時間ぐらい短いことになります。

 一番日が短いということは,翌日からは日が長くなっていくということになります。それを太陽が生まれ変わる日として,世界各地で祝祭が行われてきました。クリスマスも,太陽の復活を祝う古代ヨーロッパのお祭りとキリストの生誕が結びついたものといわれています。また中国や日本では太陽が一番弱まった状態から再び甦る日として,「一陽来復」といって上昇運に転じると考えられています。

 この冬至の日には,各地に運気を呼び込むことや寒い時期を健康に過ごすことなどの願いを込めた風習があります。その一つにナンキンやレンコンなど「ん」が2つつくものを食べるというものがあります。それは栄養上の意味に加えて,「運」をつけるという意味と,「ん」が「いろは」の最後であるため,またはじめに戻るという意味があるようです。今日はそれにちなんで「ん」が2つつく植物をご紹介します。

 その一つがナンテンです。(写真1)メギ科ナンテン属の常緑低木で日本と中国を原産地としています。7月につける花は余り目立ちませんが,(写真2=7/7撮影)晩秋から冬にかけてつける実が美しく(写真3)玄関や庭の植木の定番になっています。

 ナンテンは「ん」が2つつくだけでなく,「困難を転じる」に通じるところから縁起木としても親しまれ,その緑の葉(写真4)はおせち料理や祝い料理によく添えられます。ただそれは縁起だけでなく,葉が持つ防腐効果や彩りを添えるという意味もあるようです。

 「ん」が2つつくものの二つ目はカンレンボクです。当ページでも何度か紹介させていただきましたが,その真ん丸な花(写真5=8/14撮影)やバナナを集めたような実(写真6=11/6撮影)がユニークな樹木で,原産地中国では別名「喜樹」とも呼ばれ,幸福をもたらす木とされています。これはこの木が持つ強い生命力や繁殖力から,健康長寿・子孫繁栄の願いを込めたものだそうです。

 本園で見られる「ん」が2つつく樹木は,ほかにも黄色い実が美しいセンダン(写真7)昨日もその白い実をご紹介したナンキンハゼ(写真8)などがあります。

 寒さはまだこれからが本番となるはずです。けれども冬至の日を「一陽来復」一つの転機としていただき,健康にそしてよりよい日々を過ごされることを祈念しております。