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花・緑情報

木々の樹形その1

2016.12.16 更新








 週末の金曜日は寒い朝を迎えました。そして森林植物園ではこの冬の初冠雪となりました。緑の葉に赤い実のナンテンが薄雪をまとい,一層鮮やかに見えます。(写真1)

 さてクリスマスが近づくこの時期,街やご家庭など様々な場所でクリスマスツリーが見られます。クリスマスツリーといえばモミの木が定番ですが,ヨーロッパではヨーロッパモミのほか,ドイツトウヒなども使われています。また日本ではウラジロモミが多いようですが,いずれも常緑で円錐形の美しい樹形をしています。今日はそれにちなんで美しい樹形を持つ木々をご紹介します。木々が葉を落とし,その枝ぶりや木の形が浮き出すこの時期,それを観賞するのも冬の楽しみの一つです。

 円錐形をした美しい樹形を代表するのがメタセコイアです。(写真2)ついこの間まで燃え上がるような黄金色の黄葉に包まれていましたが,(写真3=11/10撮影)今はすっかり葉を落とし,冬の眠りについています。ただこの整った樹形だけでも鑑賞の価値があり,日本の街路樹百景の一つ,滋賀県高島市のメタセコイア並木そして一世を風靡した「冬のソナタ」で有名になった韓国潭陽(タミャン)の並木などこの美しい樹形が愛され多くの人々が訪れます。

 黄葉のメタセコイアに対して,柔らかな色合いに紅葉するモミジバフウ(写真4=10/22撮影)もなだらかな美しい円錐形の樹形を見せています。(写真5)

 モミジバフウは北・中アメリカを原産地とする落葉高木で,別名アメリカフウと呼ばれます。フウは漢字で楓と書きます。この字は訓読みでカエデと読みますが,カエデの仲間ではなくフウ科フウ属に分類される別種です。

 木全体の樹形というよりは,枝分かれする様子が美しいのがドウダンツツジです。(写真6)ドウダンの名前も,この枝分かれする様子を灯台(灯明台→3本の木を組み合わせた結び灯台のこと)に例え,そのトウダイが転訛してドウダンになったといわれています。この種も紅葉が美しい木で,とりわけ今年の紅葉は鮮やかでした。(写真7)

 冬ざれた景色が広がってきた園内ですが,このように冬ならばこそ・・というものも見られます。葉を落とした木の形も含めて,これからの時期にお伝えしてまいります。