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花・緑情報

紅葉だより19〜香りの道で〜

2016.12.04 更新







 そろそろ各地の紅葉も終わりに近づき,新聞紙面の「紅葉情報」も終了しているものが多くなりました。そんな中ではありますが,広い園地と豊富な樹種を有する本園では,まだ園内各所で紅葉や黄葉をお楽しみいただけます。今日はその中で香りの道の紅葉だよりをお伝えします。

 香りの道は長谷池東端からリガの森までの1km強。本園の東側を巡る散策路で,南側が開けた明るい道です。この名前はキン・ギンのモクセイやホオノキなど季節ごとによい香りの花が咲くことに由来しています。この道を反時計回りに廻ると,スタート地点は長谷池と野鳥の森の接点になり,野鳥の森に残るイロハモミジに見送られてのスタートとなります。(写真1)

 少し歩くとロウバイの黄葉に出会います。(写真2)この木は葉を落とした直後,厳寒の一月に芳しい香りの花を咲かせます。またその先ではオレンジ色に染まるコハウチワカエデが見られます。(写真3)日当たりのよい場所であればまっ赤に色付く木ですが,木々に囲まれているため赤黄混じりになっています。それでもその柔らかな色合いは初冬の光に輝いています。(写真4)コハウチワカエデのコは「小」で,山地でよく見られるハウチワカエデによく似た葉を持ち,その葉が小さいためにこう呼ばれています。

 道の所々で見られるのがモチツツジの紅葉です。(写真5)モチツツジは園内でコバノミツバツツジとともに多く見られるツツジの仲間で,六甲山系でも多く自生しています。花期近くに花柄が粘り,それが鳥もちに似ていることからモチ(餅)ツツジと呼ばれます。

 コナラはアカマツとともに六甲山系に多く見られる樹木で園内でも数多く見られます。場所によってはすでに落葉していますが,香りの道では鮮やかな黄葉が見られます。(写真6)

 このように秋色が残る香りの道ですが,あと一・二週間も冬ざれた景色になっているはずです。本格的な冬が訪れるまでのしばしの間,秋の名残りをお楽しみください。