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花・緑情報

紅葉だより15〜カラマツ〜

2016.11.24 更新






 関東地方で雪の予報が出ている今日は,ここ森林植物園でも6℃と寒い朝を迎えています。それでも青空が顔を見せ,冬支度を急ぐ木々には光が降り注いでいます。今日はそんな青空に映えるカラマツの黄葉をご紹介します。(写真1・2)

 カラマツはマツ科カラマツ属の落葉樹で,樹高は20〜40mにも達する高木です。

 日本固有種で原産地は石川県・静岡県から宮城県辺りまでですが,北海道や東北地方など寒冷地を中心に植林されています。本園のものは昭和24年に信州から導入・植栽したものです。この種は日本産の針葉樹の中で唯一落葉する樹木です。

 4月半ばから末にかけて芽吹きの時を迎えますが,新緑も柔らかなな色で,春らしいパステルカラーです。(写真3=4/22撮影)

 そして今は葉を染めると同時に,球果いわゆる松ぼっくりを枝につけています。(写真4)また実の周囲には褐色の冬芽も見られます。

 カラマツは漢字では「落葉松」とも表記されますが,その読みは唐松からきています。日本産のこの松に唐(中国の古名)がつけられているのは唐絵に描かれた松に由来するようで,その短枝に束生する葉(写真5)をこの絵の松に例えたものです。

 かつては電信柱や工事の杭として利用されていたカラマツですが,コンクリートその他の素材に取って代わられ用途が減っているようです。それでも違った用途や新しい技術を生かした利用の工夫もなされているようです。有効利用されることで,この美しい樹林が未来に引き継がれていってくれることが望まれます。