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花・緑情報

紅葉だより14〜黄色に染まった木々〜

2016.11.21 更新







 長谷池を西側(芝生広場側)から眺めると,鮮やかな黄色が目立つようになってきました。これはタカノツメです。(写真1)

 ウコギ科タカノツメ属の落葉高木で,日本特産種の樹木です。北海道南部から九州の丘陵地帯や山地に自生し,黄葉樹の中でも一際鮮やかな色になるため,各地の山野でよく目立つ黄葉はこの種であることが多いようです。

 長谷池周辺で多く見られる東側園路は,タカノツメのトンネルになっており,通ると顔まで黄色く染まりそうです。(写真2)

 この葉は三出複葉つまり小葉が3枚セットになっており,そのままクルクルと回りながら落葉する姿は大変風情があります。また落ち葉を見ても,その葉が本種であることがすぐ分かります。(写真3)

  タカノツメというと唐辛子を想像される方が多いと思います。それは実が鷹の鉤状の爪に似ていることに由来していますが,本種はその冬芽が鷹の爪に似ていることからきています。(写真4)興味のある方はぜひ落葉後の冬芽をご観察ください。

 長谷池から展示館方面に向かって少し歩くと,ライトアップの「光るきのこゾーン」にやってきます。このきのこ群の奥にも鮮やかな黄色の木が見えます。(写真5)これはカナクギノキです。

  クスノキ科クロモジ属の落葉高木で,千葉県以西の本州・四国・九州に分布します。常緑樹が占めるクスノキ科の高木の中では唯一の落葉樹です。六甲山系にも自生しますが,数は少ないようです。

 その濃い黄色はタカノツメとは違った色合いですがこちらも人目を引きます。(写真6)

 この変わった名前は,材が硬く緻密であることから「金釘の木」と呼ばれたというほか,その木肌から鹿子の木と呼ばれそれが訛ったという説があります。

 紅葉とはまた違った風情の黄葉で「日本の秋」をご満喫ください。