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花・緑情報

紅葉だより12〜メタセコイアの黄葉〜

2016.11.19 更新








 本園入口や展示館前でご来園の皆様方をお迎えするシンボルツリー,メタセコイアが日々彩りを増しています。(写真1・2)

 メタセコイアは中国を原産地とするスギ科メタセコイア属(1属1種)の高木で,針葉樹としては数少ない落葉樹の一つです。

 花期は2〜3月で,風に乗せて花粉を飛ばしますが,すでに夏の終わり頃から花序が形成されていて枝から垂れ下がっている姿が見られます。メタセコイアは雌雄同株の異花で,この多くは雄花のようです。(写真3)

 その美しく整った円錐形の樹形から並木などに利用されることも多く,滋賀県高島市のメタセコイア並木は日本の街路樹百景に選定されています。また韓国,潭陽(タミャン)の並木は十数年前に一世を風靡した韓国ドラマ「冬のソナタ」で一躍観光地となりました。(写真4=本園メタセコイア並木)

 この種の起源は古く草食恐竜の化石と同じ地層から見つかっています。この葉を餌とした恐竜もいたかもしれません。

 化石で発見されたこの種は,しばらくは絶滅種であると考えられていました。それが1945年に中国の奥地に自生する「水杉(スイサー)」が同種であると同定され,メタセコイアと名付けられました。発見時に化石種と考えられたために「生きた化石」とも呼ばれています。その水杉の種子がアメリカに送られ,それから育った苗木100本が我が国と皇室に贈られたのは1949年のことです。その内の3本が本園に届き,今も西門付近のメタセコイア林に健在です。(写真5※札が立っている木)この3本を基に挿し木で育てられた子や孫の木々が,並木として林として皆様方をお迎えしています。

 この黄葉の美しさは,黄色とは少し違っていて黄金色とも表現されます。(写真6)アケボノスギの別名はこの色を夜がほのぼのと明け始める色(曙色)に例えたものです。

 メタセコイアは朝の光,夕暮の残照そして夜のライトアップ(写真7)など照らす光によってもその表情を変えます。様々な時間や天気によって移り変わる色をお楽しみください。