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花・緑情報

紅葉だより9〜ウリハダカエデ〜

2016.11.12 更新








 秋晴れの土曜日です。錦織りなす長谷池は,一段と艶やかさを増し皆様方のご来園をお待ちしています。その長谷池の紅葉を構成する主な木々はイロハモミジやハナノキですが,高い位置で色を添えるのがウリハダカエデです。(写真1=アカマツの緑の上から顔をのぞかせているもの)

 ウリハダカエデはムクロジ科カエデ属の落葉高木で,樹高が20mに達するものもあります。日本固有種の樹木で,本州と四国そして九州は屋久島辺りまで分布し,日当たりのよい山地などに自生します。

 その材は白く,こけしや玩具,細工物として利用されます。また樹皮が丈夫なためかつては縄や蓑の材料として使われていました。

 4月の終わり頃から5月にかけて咲く花はそれほど目立ちませんが,(写真2=5/1撮影)赤や黄色が織りなす紅葉は,美しく山野を彩ります。本園でもイロハモミジなどとともに長谷池から芝生広場にかけての秋景色を演出します。(写真3・4)

 このウリハダカエデもカエデの仲間に特徴的な翼果をつけています。同じ仲間でもハナノキなどは早い時期に翼果を散らしますが,ウリハダカエデは長く実をつけk,晩秋には枯れたような状態になります。(写真5)かたまって実をつける様子も他のカエデとは少し違っていますので,そんな姿も紅葉と合わせてご覧ください。

 この木からウリハダカエデ(瓜膚楓)の名前を想像することは難しいと思います。この名前は,その若木の緑の木肌に暗い青緑の模様があり,それがマクワウリの未熟な実を思わせることからウリの膚を持つ樹木,ウリハダカエデと呼ばれるようになったとのことです。(写真6)似た名前にウリカエデがありますが,これも樹皮がウリに似ていることに由来しています。ただ名前は似ていても,ウリカエデの方は樹高が低い上に,葉が卵形で切れ込みがほとんどなく,その葉も紅葉せず黄色くなるといったように,同属ではありますが全く違う樹木です。

 ウリハダカエデの紅葉は樹上で映えることはもちろんですが,赤や黄が混じった落ち葉もなかなか見応えがあります。樹上の紅葉だけでなく,足元にもご注意いただきながらご散策をお楽しみください。