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花・緑情報

秋の実り7〜カンレンボク〜

2016.11.06 更新







 最近の冷え込みで遅れ気味だった紅葉も進んできています。イロハモミジやウリハダカエデも色付きを深めてきました。

 さて紅葉の秋は実りの秋でもあります。今日は天津の森でユニークな実をつけているカンレンボクをご紹介します。(写真1・2)この実の写真を子どもたちに見せると,多くの子は「バナナ」と答えます。

 カンレンボクは中国の揚子江以南で標高1000m以上の高地を原産地としています。ヌマミズキ科カンレンボク属の落葉高木で,日本には大正時代に渡来したといわれています。

 花は以前当ページでもご紹介しましたが,これもボールのような丸い形をしています。(写真3=8/14撮影)これは雄花で,このオシベが脱落すると今度はメシベが伸びてきて雌花になります。(写真4=8/20撮影)この種は雌雄同株・同花ですが,雄性先熟で雄花の時期が終わって雌花になるため,オシベとメシベが同時につかない仕組みになっています。

 そしてメシベも脱落するとその根元が伸びてきて,(写真5=9/15撮影)最終的にはじめにご覧いただいたようにバナナを寄せ集めたような形になります。

 この実は成熟すると,バナナ状の種子が一つずつ剥がれ落ち,風に乗って拡散します。(写真6=2015/12/12撮影)

 カンレンボクの名前は原産地である中国の名前「旱蓮木」を日本語音読みしたものですが,この意味するところである「乾いた場所に生える蓮の木」の由来は定かではありません。

 中国では別名喜樹と呼ばれ,子々孫々の繁栄や健康長寿を表す喜びの木とされています。これはこの木の強い生命力や繁殖力に由来するものと思われます。

 カンレンボクのある天津の森ではカイノキやナンキンハゼの紅葉も合わせてご覧いただけます。豊穣の秋をお楽しみください。