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花・緑情報

紅葉だより2〜モミジバフウ・カツラ〜

2016.10.22 更新








 本園では今日からもみじ散策期間となりました。通常は閉園日の水曜日も開園しておりますので,ぜひご都合のよい日にご来園ください。そしてこの期間に合わせたかのように,シアトルの森の景観を形づくるモミジバフウが色付いています。(写真1・2)

 モミジバフウはフウ科フウ属の落葉高木で,北・中アメリカを原産地とし,別名アメリカフウとも呼ばれます。この種の近縁種であるフウとともに,公園樹や街路樹として利用されることが多い樹木です。

 ちなみにフウは別名タイワンフウとも呼ばれ,台湾や中国南部を原産地としています。日本にはモミジバフウより早い江戸時代にやってきました。

 この2種はモミジバフウの葉が5〜7裂なのに対し,(写真3)フウは3裂なので葉で区別することができます。

 今のところまだ緑の葉も混じっていますが,それが色のグラデーションをつくり全部が真っ赤に染まるのとはまた違った美しさを見せています。(写真4)

 モミジバ(紅葉葉)フウのフウは漢字では楓で,訓読みすると「かえで」です。この文字と紅葉することからカエデの仲間と思われがちですが近縁種ではありません。これは日本に持ち込まれた頃,カエデと葉が似ていたことから誤ってカエデにこの字が当てられたようです。楓はもともとのフウの中国名です。

 昨日ご紹介したものやこのモミジバフウが紅葉するのに対し,「こうよう」でも黄葉するのがカツラです。(写真5)

 カツラはカツラ科カツラ属の落葉高木で,北海道から九州にかけて分布します。

 花の後から展開するハート型を丸くしたような可愛らしい葉は,春から夏にかけて美しい緑陰をつくります。(写真6)そして秋,役目を終えた葉は落葉しますが,(写真7)特にこの落葉した葉が醤油や綿菓子に例えられる特有の甘い香りを放ちます。カツラの名前もこの葉からお香をつくったため「香出ら(かづら)」と呼ばれたことに由来するようです。黄葉とともに香りもお楽しみください。

 カツラは園内各所でご覧いただけますが,シャトルバスや市バス乗り場付近にも多数植栽されています。ご来園やお帰りの折などにぜひご覧ください。