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花・緑情報

どんぐりころころ・・その1

2016.10.17 更新









 「どんぐりころころ どんぶりこ お池にはまって・・」(唱歌「どんぐりころころ」作詞 青木存義)

 多くの方に親しまれているこの歌は,大正時代につくられましたが,終戦直後に小学校の教科書に載せられたことで広く知られました。歌の可愛さはもちろんですが,子どもたちに親しまれている木の実であるドングリが題材であることも愛される理由なのでしょう。

 そのドングリが今実りの時を迎えています。コナラは昨年に続き生育がよく,木の周りには足の踏み場もないほど実を落としている木もあります。(写真1)

 ドングリはブナ科に属するカシ・クヌギ・ナラ・シイなどの実の俗称で,俗に「ぼうし」と呼ばれる殻斗(かくと)を持っています。

 一口にドングリといっても多種多様で,多くのドングリはベレー帽を逆さまにしたような殻斗を持っていますが,大きく分けて,その模様がウロコ状のもの(写真2=コナラ)と輪状のもの(写真3=シラカシ)の2種類があります。

 他にもトゲ状のもの(写真4=クヌギ)や殻斗が実全体を覆っていて熟すと裂けるものもあります。(写真5=スダジイ)写真の右側のドングリのように,熟すと殻斗の先端が3裂してドングリが顔を出します。秋の味覚として親しまれているクリもこのタイプに含まれますが,クリがドングリの仲間かどうかは諸説あるところです。それでも同じブナ科植物であり,少なくとも広義にはドングリの仲間と考えられます。

 これらの多くは4月末から6月にかけて花を咲かせ,(写真6=コナラ4/25撮影)今ドングリをつけていますが,この時期に花を咲かせているドングリの仲間もあります。それはシリブカガシです。(写真7)シリブカガシは殻斗に接するお尻の部分が凹んでいるためシリブカ(尻深)と呼ばれています。このシリブカガシは花と一緒に実もつけています。(写真8)これは昨年咲いた花が実らせたものです。この種は正門料金所の手前,バス停の道を隔てた向かいにありますので,ご来園いただいた折にぜひご覧ください。(ドングリの実は1年成・2年成がありますが,このシリブカガシは1,5年成です)

 園内では上記ドングリのほかにもアベマキ・アカガシ・ミズナラなど多くのドングリをご覧いただけます。そして時折カサカサ,コソッと音をたてて目の前に落ちてくることもあります。涼やかな風を感じながら秋の風物詩をお楽しみください。なおドングリの仲間につきましては,もう一度ご紹介させていただきたく思います。