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花・緑情報

グミの実と花〜ナワシログミ・アキグミ〜

2016.10.10 更新








 今日体育の日は秋晴れの一日となりました。長く続いた残暑もすっかり秋の空気に入れ替わり,絶好の行楽日和です。

  行楽日和といえば,今を遡ること半年の春の行楽日和の頃,花と実をつけていた「グミ」が今は逆のパターンで花と実をつけています。それがナワシログミとアキグミです。

 今花を咲かせているのがナワシログミ(写真1・2)で,実をつけているのはアキグミ(写真3・4)です。

 ナワシログミはグミ科グミ属の常緑低木で,本州中南部や四国・九州に分布しています。

 花は筒状で茶色の斑点があり先端が4裂しています。一見花弁に見えますが,これはガク片で花弁はありません。筒先からは4本あるオシベが顔を出しています。(写真5)

 果実は翌年につき,それが苗代をつくる時期であるためナワシログミと呼ばれています。アキグミの実が丸いのに対し,ナワシログミの実はやや細長い形をしています。(写真6=4/29撮影)

 アキグミも同属の仲間ですが,こちらは冬には落葉します。東アジアに広く分布し,ナワシログミより広い範囲で見られます。

 花はちょうどナワシログミが実をつけるころに咲きます。同じような形をしていますが,アキグミの方が白さが際立ち,数も多くつくため華やかな感じがします。(写真7=5/6撮影)アキ(秋)グミの名前もナワシログミ同様に実がつく時期に由来しています。

 どちらも食べられる実で,かつては山遊びの子どもたちのおやつでした。ただ渋みがある実は今の子どもたちの口には合わないかもしれません。

 「グミ」というと,子どもたちの頭に浮かぶのは弾力があるお菓子のグミだと思われます。ただこのグミはゴムを意味するドイツ語で,大和言葉であるグミ(茱萸)とは別のものです。ちなみに茱萸の語源はグイ(刺)の多い木になる実「グイミ」の転訛,実を口に含んだ後に皮を吐き出すことから「含む実」となってそれが転じた・・など諸説あるようです。

 同じ仲間で実と花がちょうど逆というのはなかなか興味深いものです。ぜひ合わせてご覧になってください。ナワシログミの実は香りの道で,アキグミの実は多目的広場周遊路その他でご覧いただけます。