トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

チャノキ

2016.10.09 更新






 夜来の雨が上がりました。これからしばらくは秋晴れが続くようです。園内ではともにツバキの仲間であるチャノキとサザンカが咲き出しています。今日は一足早く咲き出したチャノキをご紹介します。(写真1)

 チャノキはツバキ科ツバキ属の常緑樹で,いうまでもなく日本茶や紅茶の原料となる「茶の木」です。原産地は中国の雲南省やインド,ベトナムとされていますが詳細はよく分かっていません。

 ご存じのようにこの木の瑞々しい新芽が(写真2=5/1撮影)新茶の原料になります。

 長く伸びた葉の脇につく5弁の白い花は恥じらうようにうつむき加減に咲きます。(写真3)上から見ると分かりにくいのですが,中央に1本のメシベがありこの柱頭は3つに分かれています。(写真4)

 実は花をつけた1年後にできるため花と一緒に実もついています。(写真5)この実は中が3つに分かれており,それを図案化したものが,三角形で点が3つの茶畑を表す地図記号です。

 日本には臨済宗の開祖である栄西禅師が中国から持ち帰ったことで伝わったとされています。同禅師は茶の効用を説いた「喫茶養生記」も著しています。

 チャは漢名の「茶」を日本語音読みしたものですが,中国における茶の由来は定かではありません。それだけ古くから人々に親しまれてきたということだと思われます。

 チャノキは薬樹園とアジア区の園路沿いでご覧いただけます。お茶をイメージしながら秋の花をお楽しみください。