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花・緑情報

アサギマダラ

2016.10.08 更新






 今年は少しゆっくり目でしたが,秋風に乗ってふわりふわりと舞うチョウ,アサギマダラが姿を現しています。(写真1)

 アサギマダラはタテハチョウ科アサギマダラ属に分類される大型のチョウで,日本以外では朝鮮半島や中国などに分布します。

 この種は日本で見られるチョウの中で唯一「渡り」をするチョウとして知られています。六甲山系で見られるのは大体9月中旬から10月半ばぐらいまでですが,これは高山地帯で夏を過ごした個体が,南に渡る途中で立ち寄ったものと思われます。この渡りを調べるためにマーキング調査が行われており,本園でもマーキングされた個体が見られることがあります。(写真2)この調査の結果,2000km以上の距離を移動するものもあり,南西諸島や台湾で冬越しするものが多いということが分かっています。逆のコースで北上する姿はあまり確認できていませんが,本園でも今年5月に1頭だけですが姿が見られました。

 キク科植物特にフジバカマやヒヨドリバナで吸蜜する姿がよく見られますが,(写真3)これはオスが性フェロモンを分泌するために必要な成分がこれらの植物に含まれているからだそうです。従ってこれらの花で吸蜜する個体がオスが多いようです。もちろん他の花で吸蜜する姿も見られます。(写真4=サザンカ 5=フサフジウツギ)

 アサギマダラのアサギ(浅葱)は青緑の古い呼び名で,翅の半透明な水色に由来しています。

 アサギマダラが本園で過ごす日ももうそれほど長くはないと思われます。ぜひ一度その優雅な舞をご覧ください。