秋草の小径に咲く花その5〜セキヤノアキチョウジ・イヌタデ〜
2016.10.02 更新
早いもので10月神無月を迎えました。秋ももう半ばです。そんな中秋草の小径で咲き出したのがセキヤノアキチョウジです。(写真1)
セキヤノアキチョウジはシソ科ヤマハッカ属に分類される日本固有種の多年草で,中部から関東にかけての山地に自生します。
枝分かれしながら花茎を出し,その途中に長い柄のある筒状の花をつけます。(写真2)唇形の花は上唇が2つ,下唇が3つに裂けており,下唇が長いユニークな形をしています。(写真3)花の中を覗くと,4本あるオシベの青い葯が見えています。(写真4)
近縁種のアキチョウジとは岐阜県辺りを境として西がアキチョウジ,東がセキヤノアキチョウジと分布が分かれており,本園のものは種子から育てて植栽したセキヤノアキチョウジです。
この名前は丁子(ちょうじ=クローブ)と花が似ていて秋咲きであることからアキチョウジと名付けられ,さらに本種は箱根の関付近で発見されたことから関屋(セキヤ)の名前が冠せられています。
秋草の小径はもちろんですが,園内各所の園路沿い,草むらなどでも,今よく見られるのがイヌタデです。(写真5)
タデ科イヌタデ属の一年草で,アジアかの温帯から熱帯にかけて分布し,日本でも北海道から沖縄までほぼ全土で見られます。
茎の先から1〜5cmの花穂をだし,紅紫色の小さな花をつけます。(写真6)花弁に見える部分はガク片で花弁はありません。(写真7)
イヌタデの名前はヤナギタデ・ホンタデと呼ばれる薬味などに使われるタデに対してつけられた名前で,葉に辛みがないことから「役に立たない」という意味でイヌの名前が冠せられたようです。イヌザンショウなども同様の命名です。(愛犬家の方には申し訳ありませんが・・)
よく見られるいわゆる雑草ですが,その美しい姿が愛され画材として使われることもあります。
これら秋草の時期が終わるころ園内は紅葉に包まれるはずです。それまでのしばしの間秋草散策をお楽しみください。