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花・緑情報

萩の小径見頃〜ミヤギノハギ〜

2016.09.17 更新








 9月も半ばを過ぎ,萩の小径では各種ハギが咲きそろい見頃を迎えています。中でも萩の小径で多くを占めるミヤギノハギが華やかな彩りを見せています。(写真1)

 ハギは秋を代表する花の一つで,秋の七草を詠んだ山上憶良の歌「萩の花 尾花葛花・・」で筆頭に挙げられるように,古くから親しまれてきました。万葉集にも百首を超える歌に萩が詠み込まれていて,最も多く詠まれた植物です。また源氏物語や枕草子にも現れています。この萩はヤマハギかマルバハギのことと思われますが,いずれにせよ草冠に秋と書く萩の仲間は秋の景色に欠かせないものです。

 今日ご紹介するミヤギノハギは,マメ科ハギ属の落葉低木で,大人の背丈ほどになるハギの仲間では大型の種類です。

 葉の脇から円錐形の花序をだしたくさんの花を咲かせます。(写真2)個々の花はヤマハギやマルバハギより大きく,マメ科に特徴的な蝶形花はとても華やかです。(写真3)三出複葉(3枚の小葉が1セットになったもの)の葉は,楕円形で先が尖っており,他のハギのものよりシャープな印象を受けます。(写真4)また枝が枝垂れるのも特徴で,それが萩の小径の風景を形づくっています。(写真5)

 花の後にできる果実はいわゆる豆果ですが,この実を求めてオオマシコやベニマシコなどの冬鳥がやってきます。

 この種は本州中部以北の日本海側に分布するケハギ(毛萩)と近縁で,江戸時代にケハギからつくられた園芸品種であるというのが一般的な説です。ただミヤギノハギが野生化したものがケハギであるとする説もあります。

 ミヤギノハギ(宮城野萩)は宮城県の県花に定められているとともに,県章デザインのモチーフにもなっています。ただ仙台 郊外の宮城野地区には自生しておらず,「ミヤギノ」が何に由来するのか定かではありません。「ハギ」の語源については諸説ありますが,毎年古い株から芽を出す「生芽(はえぎ)」からきたというのがよくいわれる説です。

 萩の小径ではほかにもニシキハギなどが咲きそろっています。(写真6)また風に揺れるススキが加わった景色は「日本の秋」そのものです。(写真7)虫の音を聴きながらハギ散策をお楽しみください。