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花・緑情報

秋草の小径に咲く花その1〜ヒオウギ・ゲンノショウコ〜

2016.09.11 更新








 昨日は秋の小径に咲く秋の七草についてお伝えしましたが,秋草の小径では七草に挙げられていない花もたくさん咲いています。今日はそうした花の中から華やかなヒオウギと,小さいけれども美しい花ゲンノショウコをご紹介します。

 ヒオウギはアヤメj科ヒオウギ属の多年草で,山野の湿り気のある木蔭などに生育します。

 鮮やかなオレンジ色をした6枚の花被片が平らに開き,暗黒色の斑点が花を印象付けています。3本のオシベと1本のメシベを持ち,その黄色が一層華やかさを盛り立てています。(写真1・2)

 葉は剣状の線形で,根の際から扇状に広がっており,(写真3)この様子が檜扇(ひおうぎ=平安貴族が持ったヒノキの板でできた扇)に似ていることが名前の由来です。

 今花とともに実をつけていますが,(写真4)この実が熟すとはじけて中から黒くて艶やかな種が出てきます。和歌で使われる「夜」や「黒」などにかかる枕詞「ぬばたま(射干玉)」はこの種の色からきているといわれています。

 草むらの中で浮き出るように赤い花を咲かせているゲンノショウコは,(写真5)フウロソウ科フウロソウ属の多年草で,日本全土の日当たりのよい山野や道ばたに自生しています。

 5弁の赤い花は花弁より濃い色の筋が入っており,オシベの葯の紫とのコントラストが美しい花です。(写真6)本園では赤のものが目立ちますが,園内でも場所によっては白い花も見られます。(写真7)東日本ではこの白い方が多いということです。

 古くから下痢止めの妙薬として知られており,ドクダミ・センブリとともに民間薬の代表格です。花をご存じなくても名前は聞いたことがある・・という方も多いのではないでしょうか。その名前も「現によく効く証拠」がゲンノショウコになったといわれています。

  ゲンノショウコは秋草の小径だけでなく,園内各所の園路沿いでもご覧いただけます。時折見られる白い花をお探しいただくのも宝探しのようで楽しいかも知れません。

 秋草の小径ではまだ他にも秋咲きの草花が咲いています。そしてこれから咲く花もあります。風に揺れるススキとともに秋草をお楽しみください。