トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

再びのギンリョウソウ

2016.09.06 更新







 天気は下り坂に向かうようですが,今はまだ秋晴れで,トンボの群れが悠然と秋風に漂っています。

 さて初夏にその不思議な姿を見せていたギンリョウソウが再び現れました。といっても全く同じものではなく,アキノギンリョウソウまたはギンリョウソウモドキと呼ばれる近縁種です。(写真1)

 アキノギンリョウソウツツジ科シャクジョウソウ属の多年草で,北海道から九州にかけての林の中などやや暗い場所に生育します。

 腐生植物と呼ばれるものの一つで,落ち葉などを分解する菌類と共生し,菌根植物とも呼ばれます。

 葉緑素を持たないためキノコのようにも見え,ユウレイタケとも呼ばれますがオシベ・メシベを持ち,実もつける植物です。

 葉は退化しており茎に鱗片となってついています。(写真2)付着していて分かりにくいのですが,ガク片・花弁ともに3〜5枚持っています。

 外見はギンリョウソウとほとんど変わりませんが,(写真3=ギンリョウソウ5/6撮影)花期以外にも違いがあり,花の中を覗きこむとギンリョウソウの柱頭が紫色なのに対し,(写真4)アキノギンリョウソウは薄茶色です。(写真5)

 またギンリョウソウの実が液果(水分が多い実)で下向きにつき,実ができると比較的早く枯れるのに対し,アキノギンリョウソウは�柬果(さくか=果皮が乾燥して種子が弾けだす実)で上向きにつき,枯れた状態で長く残る(写真6=2015/10/10撮影)という点でも違いがあります。

 ギンリョウソウの花期が終わってからお問い合わせをいただくことがあります。全く同じものではありませんが,ギンリョウソウを見逃した方はこちらをご覧になってください。

 ご紹介した株はつつじ園の一塊ですが,もう少ししたらまた別の場所でも顔を出すかもしれません。