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花・緑情報

初秋の風に揺れる水辺の花〜ミソハギ〜

2016.09.03 更新






 残暑は厳しいものの,陽の光は日々柔らかさを増しています。真夏の長谷池を飾ってきたスイレン・アサザなどの水生植物もまだまだ元気に咲いていますが,それに加えて初秋の水辺を彩るミソハギが花を咲かせ始めています。(写真1)

  ミソハギはミソハギ科ミソハギ属の多年草で,山野の湿地や水辺,田の畔などに自生します。日本では本州から九州にかけて,そして朝鮮半島にも分布しています。

 直立した茎は80cmぐらいになり,その茎を取り巻くように3〜5個の花を穂状につけます。(写真2)花は美しいマゼンタピンクで,筒状のガクから4〜6枚の花弁が出ています。このガクの先は6つに裂けています。オシベは12本ありますが,短いものはガク筒の中に隠れています。(写真3・4)対生する(向い合せにつく)葉は交互に直角につき,どの葉にもよく陽が当たるようになっています。(写真5)

 お盆の花として広く用いられ,ボンバナ(盆花)やショウリョウバナ(精霊花)の別名で呼ばれることがあります。それは地域によってこの花と水で仏前の供え物の禊(みそぎ)をしたり,花に水をつけてお祓いし,祖霊をむかえたりする習慣があることによります。こうしたことから禊萩(ミソギハギ)と呼ばれ,それがミソハギになった・・というのが名前の由来に関する一説です。(溝萩からきたという説もあります)もっとも萩といってもハギの仲間ではなく,今も鮮やかな花を咲かせているサルスベリの仲間です。

 初秋の風に揺れるピンクの花。それは夏から秋への季節の移ろいを感じさせてくれます。