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花・緑情報

カンレンボク

2016.08.21 更新








 今日21日はこどもフェスタの二日目でした。草木遊びやクラフトなど様々なコーナーで子どもたちの笑顔や真剣に取り組む顔が見られました。

 その子どもたちに写真を見せると十中八九「バナナの実」と答えるユニークな実をつけるカンレンボクが花を咲かせています。

 カンレンボクはミズキ科カンレンボク科の落葉高木で,中国雲南省を原産地としています。

 その花もユニークで毛が生えたボールのような形をしています。(写真1)これはゴツゴツとした球形のつぼみから飛び出すように花糸が出てきて(写真2)やがて毛玉のような形になります。これはオシベつまり雄花です。カンレンボクは雌雄同株で,このオシベの時期(雄性期)が過ぎて花糸が落ちると,次はメシベが伸びてきて雌性期を迎えます。(写真3)メシベはオシベに比べてややまばらにつき,シベの先が2裂しています。(写真4)このように雌雄同花でありながら性が異なる時期があるのは,自家受粉を防ぐためと考えられます。この時期は木によって少しずれており,今は雌雄両方の花を見ることができます。

 雌雄の花の時期を終えると,今度は角のようなものがあちらこちらから出てきて,(写真5=2015/9/15撮影)やがて子どもたちがバナナの実と呼ぶ実になります。(写真6=2015/10/17撮影)この実は葉が落ちても残り,(写真7=2015/12/17撮影)やがて角の部分が一本一本風に舞うように落ちて子孫を増やします。

 カンレンボクという名前も変わっています。これは漢字で「旱蓮木」と書き,中国での名前を日本語音読みしたものです。この意味は「乾いた場所に生える蓮(はす)の木」という意味ですが,どこがハスに似ているのかは定かではありません。

 中国では別名「喜樹(きじゅ)」と呼ばれ,子々孫々の繁栄長寿を表す喜びの木とされています。それはこの木の強い生命力や繁殖力に由来するものと考えられます。

 いろいろな面でユニークなカンレンボクは天津の森の奥,ハンカチノキの向かい辺りでご覧いただけます。高木ですが下の枝では眼前で花を見ることができます。ご家族のご健康,ご発展を願いつつご鑑賞いただければと思います。