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花・緑情報

ナナコバナ

2016.08.12 更新







 立秋が過ぎ秋を迎えた・・とはいうもののまだまだ太陽は真夏そのものです。けれどもこんな日でも木々がつくる緑陰では爽やかな風が吹き抜けます。コナラ広場でも大きなコナラが涼やかな木蔭を提供していますが,その一画でちょっと珍しい樹木,ナナコバナが花を咲かせています。(写真1)

 ナナコバナは中国中部から東部にかけて自生するスイカズラ科ヘプタコディウム属(ナナコバナ属)の落葉低木です。

 夏の終わり頃から秋にかけて枝先に花序をだし,それをいくつかに枝分かれさせながら白い花を咲かせます。(写真2)

 花がかたまってついているため球状に見えますが,(写真3)一つ一つの花はオシベが5本,メシベが1本の5弁花です。(写真4)

 この花はライラックやバニラに似た甘い香りを持っており,オータムライラックとも呼ばれます。そして比較的花が少ない時期に咲くため,チョウにとっては貴重な蜜源で,アオスジアゲハやジャコウアゲハが吸蜜する姿が見られます。

 ナナコバナという変わった名前を持っていますが,これは中国名である「七子花」を日本語読みしたものです。英語名もSeven sons flowerとそのまま英訳されたものです。

 この名前はつぼみをみると分枝した花序が3・1・3の7つに分かれており,これが名前の由来と考えられます。(写真5)またかたまって咲く様子を子どもに例えたものかもしれません。

 この花が終わるとガク片が肥大するとともに濃いピンク色になっていきます。(写真6=2015/10/24撮影)これが再び花が咲いたように見え,この木の特徴の一つになっています。

 夏の終わりから秋にかけて咲く白い花,そして秋の深まりとともに見られる花のようなガク片とぜひ2度お楽しみください。