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花・緑情報

真夏の輝き〜スイレン〜

2016.08.04 更新







 今日も真夏の太陽が輝いています。森林植物園でもアブラゼミやミンミンゼミの声が夏真っ盛りを感じさせます。それでも最高気温は30℃前後と市街地に比べて3℃ほど低く,木蔭では涼やかな風が通ります。なかでも長谷池周辺は水辺を渡る風が心地よく,水面には水生植物が揺れています。今日はその中でも一段と華やかなスイレンをご紹介します。 

 スイレンはスイレン科スイレン属の水生多年草で,初夏から開花し始め夏の水辺を彩ります。(写真1)

 日本の自生種はヒツジグサと呼ばれる小型のスイレンですが,本園のものは別名ニオイヒツジグサと呼ばれる温帯性のスイレンです。

 色は磁器のように落ち着いた白(写真2)からピンク色に近い(写真3)ものまで様々ですが,いずれも夏の光がよく似合う美しさを持っています。

 この花は花被片やシベが多数重なり合っていますが,外花被片(ガク)から内花被片そしてオシベは連続して移行しており,外花被片と内花被片はほとんど区別がつきません。またオシベの外側は葯がついているものの花弁のような形をしています。(写真4)

 この花は時期によっても変わりますが,大体3日ぐらい咲き,その1日目はメシベが成熟します。そして2日目にはオシベが成熟して花粉を出します。その時はメシベを覆うようにオシベが集まるためメシベは見えなくなります。(写真5)このようにして自家受粉を防いでいます。

 スイレンは朝花を咲かせ2〜3時頃には花を閉じます。昼ごろにはすでに半分ぐらいは花を閉じており,(写真6)午睡をしているようです。スイレンの漢字は「水蓮」と思いがちですが,実際には睡蓮と書きます。つまり「眠る蓮」です。なお花は一旦は閉じますがそのまま枯れるのではなく,上記のように数日間は続けて咲きます。

 まだまだ暑い日が続きますが,美しい水辺の花を愛でながら,風の吹き抜ける木蔭で夏のひと時をお過ごしください。