トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

真夏のあじさい〜タマアジサイ〜

2016.08.01 更新








 8月を迎えました。今日朔日は八朔と呼ばれます。旧暦では早穂が実る頃で,それに伴う祝いや祭りなどの風習が八朔祭として各地に残っています。

 まさに真夏のこの時期,次々と開花して園内を彩っているのがタマアジサイです。(写真1)

 「あじさい」というと梅雨の時期の花というイメージがあり,実際多くのあじさいはその時期に咲きますが,このタマアジサイは他のあじさいより一か月ほど後に花期を迎える真夏のあじさいです。

 タマアジサイは東北地方の南部から中部地方にかけての湿った林内に自生する野生種のあじさいです。淡い青色の両性花と白い装飾花の対比が鮮やかで,(写真2)特に密生する両性花は澄んだ美しさをもっています。(写真3)

 若い花序はいくつかの大きな鱗片に包まれて球状になっており,それがタマ(玉)アジサイの名前の由来になっています。(写真4)そしてこの球形のつぼみが割れて,らせん状にほどけるようにして開花していきます。(写真5)

 このタマアジサイの咲き方には花期以外にも特徴があります。それは一つの株のい中でもつぼみが一度に開花せず,成熟したものから順に開花していくことです。そのためつぼみと咲きかけの花そして開花したものが混在しており,花が開いていく過程もご覧いただけます。また順に開花していくため,花を長く楽しんでいただくことができます。

 このタマアジサイは別名ヤマタバコと呼ばれます。それはタバコが専売品になる前,この葉を乾燥させてタバコの増量に使われていたことによります。喫煙人口が減った今日では考えにくい,時代を感じさせる呼び名です。

 タマアジサイの仲間には装飾花と両性花が八重になったヤエタマアジサイもあります。(写真6)この両性花は淡いピンク色で,タマアジサイとは違った美しさを持っています。そのすぐ近くにまた少し形状がちがう八重のタマアジサイがあり,ギョクダンカと呼ばれています。(写真7)

 これらタマアジサイの仲間は,ともにあじさい園の奥まった辺りでご覧いただけます。真夏の光に輝く美しい色合いをお楽しみください。