北アメリカ区の花盛り〜リョウブ〜
2016.07.18 更新
北アメリカ区は長谷池から西門方面に1〜2分歩いた所にある芝生の斜面地です。今ここでリョウブが涼しげな木蔭を提供するとともに白い花を咲かせています。(写真1・2)
リョウブはリョウブ科リョウブ属の落葉高木で,北海道南部から九州にかけて分布しています。
枝先に総状花序を出し,白い花を一杯につけます。(写真3)その5弁の花はウメに似た形で微香を持つとともに,癖のない良質の蜂蜜が採れる蜜源となっています。(写真4)
拡大して見ると,10本あるオシベがよく目だっていますが,その先の葯が矢筈(やはず=弓矢の矢が弦を受ける部分)の形になっているのが特徴的です。(写真5)この先端から花粉を出します。
その樹皮は美しいまだら模様になっています。サルスベリやナツツバキの樹皮と似ており,地方によってはこの種もサルスベリと呼ばれることがあるようです。(写真6)
この若葉は今でも山菜として食べられていますが,食用になることでかつては救荒植物として植栽されていました。平安時代には一定量のリョウブを植栽するよう官令が出され,その植栽が奨励されました。リョウブは漢字では「令法」と書かれますが,その名も官令つまり令法(りょうほう)が転訛したものという説があります。リョウブは古くはハタツモリとも呼ばれていましたが,これは「畑積もり」つまり畑の見積もりのことで,上記の説と語源を同じくするものです。
語源の別説としては,その花序の姿を瑞祥である白龍の尾に見立てた「龍尾」(りょうび)からきたとするものがあります。
北アメリカ区は春には華やかな西洋シャクナゲやカルミアが咲き誇ります。そして今はこのリョウブやネムノキが本格的な夏の到来を告げています。緑の風が吹き抜ける芝生の木陰で,花を愛でながら夏のひと時をお過ごしください。