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花・緑情報

野の花2〜ネジバナ・ヒメヤブラン〜

2016.07.17 更新








 ラン(蘭)とつかないけれどもラン,ランとつくけれどもランではない・・というと「なぞかけ」のようですが,今園内で咲くネジバナとヒメヤブランはまさにこの「なぞかけ」通りです。

 ランの仲間であるネジバナは,日本だけでなく広くユーラシア大陸の温・熱帯そしてオセアニアにも分布しています。

 花が花茎の周りにらせん状に並んでつくその姿が特徴的で,名前の由来にもなっています。(写真1・2)この形からはラン科植物を想像しにくいのですが,一つ一つの花はランらしい形をしています。6枚の花被片の内,花の下部にある1枚は唇弁と呼ばれ,白くフリルがついたような形をしています。後は3枚の外花被片と2枚の内花被片(側花弁)で構成されています。(写真3・4)写真からは花の内部は見にくいのですが,オシベとメシベは合体して蕊(ずい)柱をつくり,花粉は花粉塊という塊になっています。これらはラン科植物の特徴です。

 とても小さい花ですが,コナナバチのような小形のハナバチが花に潜り込み花粉を媒介します。

 別名のモジズリは百人一首に採られている「陸奥の しのぶもぢずり・・」にあるねじれ乱れた染め模様をこの花に模したものです。

 一方ランとついてもランの仲間ではないのがヒメヤブランです。(写真5)キジカクシ科ヤブラン属の多年草で,旧分類ではユリ科とされていました。日本では北海道西南部から沖縄までの日当たりのよい草地や林下に生育し,朝鮮半島や中国などにも分布しています。

 高さは10cmほどの小さな花で他の植物に埋もれるように咲いていますが,(写真6)よく見ると淡い青紫が美しい花です。

 その花被片は6枚あり,6本ある黄色いオシベの葯と美しい対比をなしています。メシベが上向きに曲がってついているのも愛嬌があります。(写真7)

 ヒメ(姫)ヤブランの名前は近縁種のヤブランより小さいことからきていますが,ヤブランはその葉がシュンランに似ているのが名前の由来のようです。

 このヒメヤブランは北アメリカ区の芝生や草むらに潜んでいます。ネジバナは園内の芝生地などで見られますが,今なら香りの丘がポイントです。