トップ / 花・緑情報 > 森林植物園のいま(バックナンバー) /

花・緑情報

スズランノキ

2016.07.07 更新







 今日は七夕。織姫・彦星の一年に一回の出会いの日です。これは中国に古くから伝わる星祭りの説話と日本古来の農耕儀礼や祖霊信仰が結びついたものといわれています。願い事を短冊に書いて笹竹に吊るす風習は,中国の乞巧奠(きっこうでん)からきているといわれています。本園でも皆様方の願いを集めた笹飾りが風に揺れいています。(写真1)

 そして今日は二十四節気の小暑でもあります。夏至から数えて15日,暑さが本格的になる頃とされています。今日も梅雨の晴れ間の暑い日で,こんな日は清楚な白い花で爽やかな気分をお届けしたいと思います。その咲き始めた白い花はスズランノキの花です。(写真2)

 スズランノキは北米を原産地とするツツジ科の落葉高木で,その名前の通りスズランに似た花をつけます。

 枝先から1本の花序を出し,それから枝分かれした花序にぶら下がるように花をつけます。(写真3)釣鐘型の花は先が5裂しており,その部分が跳ね上がってタコの足のような可愛らしい形になっています。(写真4)花の中を覗きこむと,1本の花柱の周りにオシベがまとわりつくように出ています。(写真5)

 この樹木はニシキギやニッサ(モミジとする資料もあります)とともに世界三大紅葉樹といわれており,秋には周辺のモミジバフウとともにシアトルの森を彩ります。(写真6=2015/10/24撮影)

 今日ご紹介した樹木の学名はOxydendrem arbreumですが,実はもう一種スズランノキと呼ばれるZenobia pulverulentaという種があります。これは同じツツジ科植物で,やはり釣鐘状の白い花を咲かせます。ただ花序や花の形は違っており,見た目で区別できます。※Zenobia種は本園にはありません。

 スズランノキはシアトルの森中ほどにある2本が花をつけています。シアトルの森から長谷池に下りる階段沿いにも数本ありますが,木が小さく花はつけていません。